2012年2月18日土曜日

1市民からの泊まり4カ町村への質問要請書と回答 ー防災対策に関して

一人の市民が、泊4カ町村と北電に、質問要請書を提出しました。下記、要請書の内容と各自治体からの回答です。ひとりでも、こんなことができて、重要な情報を引き出せるのですね。緊急時の対応ができていない原発立地体の実情がよくわかります。
・岩内町からの回答
http://kkindi.com/a/response/iwanai.pdf

・泊村からの回答
http://kkindi.com/a/response/tomari.pdf

・神恵内村からの回答
http://kkindi.com/a/response/kamoenai.pdf

・共和町からの回答
http://kkindi.com/a/response/kyowa.pdf

・北電からの回答
http://kkindi.com/a/response/hokuden.pdf
要請書および質問書
平成24年1月15日
 私は岩内町出身で、実家は泊原子力発電所からおよそ5kmの場所にあります。
以前より、安全対策や危機管理等について、事業者による説明会や質問への回答では「事故は起きない」という前提のもと答えられていました。しかし、災害は人間の想定内で起こってくれるわけではありません。福島で起きた「想定外」を踏まえ、起きる側に立った対策が必要不可欠です。
平成23年3月11日に起きた震災を起因とする東京電力所有の福島原子力発電所事故を踏まえ、泊原子力発電所でのリスクマネジメントの徹底および対策の強化を求めます。
(以下要請事項)
1. 安定ヨウ素剤を40歳以下の人がいる家庭・各学校施設・病院等に人数分以上配備してください。また、服用についての講習会も開催してください。
2. 周辺地域は過疎・高齢化が著しいこと、また日中は通勤等に用いることから自家用車が家庭に残されていないこともあるため、有事の際、確実に全員が安全に避難できるよう、避難用バスの配置や、防護服およびマスクの配備といった、避難経路および移動手段の確保をしてください。同時に入院患者や施設利用者等、専門的なケアが必要な方を含め、避難者全員の避難先の確保もお願いします。
3. 参加がリスクを伴う方(重病者や妊婦、産褥婦ならびに生後間もない乳児等)以外の全町村民に参加義務がある避難訓練を行なってください。現在も訓練は行われていますが、例えば岩内町の場合は自由参加であり、学校施設は対象になっていません。また、上記の項目2も踏まえ、より現実に即した訓練をしてください。事故が起こる時間帯により必要な動きが変わるため、平日の日中想定と夜間想定、両方の実施をお願いします。
4. 事故後、原子炉の損傷および放射性物質の漏洩が予想される際は、SPEEDIなどに基づき、速やかに最悪の想定に基づいた拡散予測を発表し、必要な指示をしてください。
5. 放射性物質の漏洩後、積算で20mSv以上の被曝をした方(一般市民、原発作業従事者問わず)には、年齢に関わらず医療の無償化と、安全な移住先での生活の保障を与えてください。
6. 放射性物質の漏洩後、最も厳格な基準での放射線管理区域に当たる汚染がある場合、一般市民が居住するには不適当と考えますので、強制移住の対象としてください。妊婦ならびに妊娠可能な女性、子どもはそれに満たない汚染でも強制移住または安全な移住先での生活の保障をしてください。
7. 放射性物質の降下量と作物の濃縮係数から、基準超えの作物が作られるおそれのある場合、作付けは許可せず、農業に携わる方々に収入の保障をしてください。また、降下量が測定できるまでの間も同様に対処してください。
8. 昨年の福島原子力発電所で行われたように、大量の汚染水が放出されるなど、海洋の汚染も考えられる場合、セシウム・ヨウ素に加えてストロンチウム・トリチウムの測定もしてください。また、漁業に携わる方々へ収入の保障も迅速にしてください。
9. 除染作業をする際は一般市民にはさせず、事業者と自治体の責任で行なってください。作業の際は、必ず全身を防護して行なってください。
10. 項目1~3については原発事故の防災重点地域が30キロ圏に拡大されたことから、積丹町・余市町・仁木町・赤井川村・倶知安町・ニセコ町・蘭越町およびその他希望する自治体を対象としてください。項目4~9については30キロ圏外であっても該当する地域は全て対象としてください。
(以下質問事項)
1. 要請事項項目1~3について、いつから実行可能でしょうか。実施予定時期をお答え下さい。また、実行困難・不要と判断される場合、その理由もお答え下さい。
2. 同項目4について、SPEEDIは事故発生から15分で災害対策本部に拡散予測を送ることが可能とされているにも関わらず、昨年の福島原子力発電所事故の際、爆発が予想されても、また爆発後もSPEEDIが住民に対し速やかに公開されませんでした。この事を踏まえ、泊原子力発電所で同様の事態が起きた場合、速やかに周知および対策を取るために実施していること、または実施予定および実施時期をお答え下さい。
3. 同項目5~8の各保障について、それぞれの保障金額や期間など、具体的に考えている内容をお答え下さい。
以上、今も周辺で暮らす家族や友人を原子力発電所事故から守るために考えた最低限の事柄です。
実際に事故が起きた場合は、これで十分ではありません。福島のように、立入禁止の家には帰れませんし、自由に墓参りもできません。耕した土地も、愛情をもって育てた家畜も、豊かな漁場も全てが無くなってしまいます。被曝の影響は積算ですので、なかったことにはできません。単にお金の問題ではないため、被災した方々の意見を最優先するべきと考えます。ただ、現在起こっている、東京電力所有の福島原子力発電所事故をみていると、事前の対策もない状態で十分な保障もない中、住民が被曝し続けていることに危機感を持ったので、要請として提出いたします。
また、現在泊原子力発電所1、2号機は定期検査中、3号機はまもなく検査に入ることと思いますが、今回の要望は元々原子力発電所稼動当初から保証されているべき事柄と考えますので、最低限これらの対策がなされない限り、そして住民に対し十分な説明が行われ、同意を得られない限り、稼働はすべきではありません。どうか、住民とそこで働く人々の安全を第一に考えて下さい。
各質問事項および要請についてのご回答は、今月中(平成24年1月31日まで)に下記まで郵送下さい。よろしくお願いいたします。


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Shut泊 事務局/代表 泉かおり
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